巨石文明日本人再考日記縄文文明

須佐之男命

 出雲の調査研究の結果を、3回に分けて書きました。ただ、その際には省略していた、ある意味、最も重要な事柄が、須佐之男命(スサノオノミコト)に関することです。古事記の最初に出てくる伊邪那岐命(イザナギ)と伊邪那美(イザナミ)の話はとりあえず置いておいて、伊邪那岐命が川で禊ぎをしていたときに、左目から天照大御神(アマテラスオオミカミ)、右目から月読命(ツクヨミノミコト)、そして鼻から須佐之男命が誕生したとされる、その須佐之男命です。したがって、天照大御神とは兄弟に当たります。古事記では、暴れん坊の須佐之男命が天照大御神を怒らせて、天岩戸(アマノイワト)に引きこもらせたり、老夫婦の娘、櫛名田比売(クシナダヒメ)を助けるために、八俣遠呂智(八岐大蛇、ヤマタノオロチ)を退治して、そのシッポから得られた草薙剣(くさなぎのつるぎ)を天照大御神に献上した話などが語られています。それでは、この物語風に語られた古事記の中での須佐之男命とは、本当はどのような存在だったのか? 暴れん坊は何を示唆しているか、八俣遠呂智は何を比喩しているのか、そしてそこから得られた草薙剣とは? そのまま、神話の物語として話が終わってしまうと、単に空想の世界に留まってしまいます。

 でも、仮に空想の世界を物語にしたとすれば、現在でもSF小説か昔話にでもできそうな面白い内容ですが、はたして、そのような物語を天武天皇は書くよう命じたのか? また、そんなに想像力豊かだったのか? と素直に考えれば、それはないでしょう、と私は思います。やはり、古事記に書かれた内容が、一つ一つ何かしらの事実を比喩していると考えた方が、古事記が存在する意義を再認識できます。特に、天皇の起源は天照大御神にあり、その孫に当たる邇邇藝命(ニニギノミコト)が高千穂に天孫降臨して、そのまたひ孫に当たる神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコノミコト)が、東征を経て梶原の地に大和を建国した、神武天皇とされています。その子孫に当たる天武天皇の命により、古事記や日本書紀が書かれているわけですから、当然、このいわゆる天孫族の意向に沿って、書かれていることはたしかでしょう。中でも古事記は、書かれている神話をそのまま楽しんで読めばそれまでですが、何を意味しているかを考え出すと、真実が見えない分、つい妄想してしまいます。

 その中でも、伊邪那美は国生みで伊邪那岐命とともに、オノコロ島を手始めに、日本列島の島々を造ったのはいいのですが、火の神である火之迦具土神(カグツチ)を産んだ時に火傷が原因で亡くなり、黄泉の国へ行ってしまいます。伊邪那岐命は火之迦具土神を殺した後、伊邪那美に会うため黄泉の国へ行きますが、腐敗した姿を見られた伊邪那美は伊邪那岐命を追い掛けて殺そうとしました。危うく黄泉の国から逃げ帰った伊邪那岐命は、清めるため禊ぎをして、須佐之男命ら三神を誕生させるわけです。その須佐之男命も母に会いたいと黄泉の国に行こうとしたら、伊邪那岐命は怒って、須佐之男命を高天原から追放します。その落ち着き先が出雲です。古事記には、出雲と伯伎(ほうき)の堺にある比婆山(ひばやま)に伊邪那美は葬られていると記されており、その場所が黄泉の国に比定されているところの一つになっています。伯伎は島根県の中西部に位置していた「鉄器製造」が盛んな場所でした。また、比婆山の山頂には、伊邪那美を祀ったとされる苔むした「巨石」があるそうです。

 ここまで書いて、どうでしょうか、想像が膨らんできませんか? 鉄器製造が盛んな伯伎近くにある比婆山の、その山頂に巨石があり、伊邪那美が祀られている。伊邪那美は火之迦具土神を生んだ際に火傷して亡くなった。伊邪那美を慕っていた須佐之男命は出雲に住み着いた。そして、櫛名田比売を助けるために、八俣遠呂智を退治したら、そのシッポから草薙剣が出てきて、天照大御神に献上した。先の村井先生の著書によれば、八俣遠呂智は、刀の原料になる高品質な玉鋼を造る製鉄製法の「たたら」により排出された土砂により、よく洪水を起こす斐伊川(ひいかわ)を比喩しているということでした。その八俣遠呂智を退治した須佐之男命は、まさに製鉄を象徴する神なのか。須佐之男命はその後、櫛名田比売を娶って、二神から八島士奴美神(ヤシマジヌミ)が生まれ、その六代目の子孫が出雲大社に祀られている大国主神というのが、古事記に書かれている神話です。さあ、これは単なる神話か、それとも何かを比喩しているものなのか、想像し出すとキリがないのですが、それは私だけでしょうか?

 想像が尽きないですが、黄泉の国から追われた伊邪那岐命は大きな岩で黄泉の国の入口を塞ぐことで、腐敗した伊邪那美から逃げ帰りました。もしかして、比婆山の巨石はその岩? 岩で結界を築いている? 磐座の起源は比婆山にあり? だから、磐座は神が宿る神聖な場所? 先史文明とは関係ない? 反重力とも関係ない? さらに、調査研究が必要? ということで、ここでも書いた天孫降臨の場所と比定される、高千穂があるとされる宮崎を、今週、調査?していました。こちらについては、また後ほど書きします。