勝ち負け
人生には、勝ち負けが付きものです。特に男性は、人生の勝負ごとがたくさん付きまといます。子供の頃から、小学校の運動会でアイツに徒競走で負けた。アイツの家の方が大きくて負けた。期末試験でアイツに成績で負けた。大学受験でアイツの方が偏差値の高い大学に合格して負けた。好きな彼女をアイツに取られて負けた。就職でアイツの方がいい会社に就職して負けた。アイツの方が金持ちで負けた。美人の奥さんと結婚したアイツに負けた。アイツの業績に負けた。アイツの方が先に昇進して負けた。アイツの方が偉くて負けた。そして、定年を迎えた。なんか、私が歩んだ人生のようですが、私に限らず、みなさん当たっているものはありませんか?
人は常に勝負しながら(させられながら)生きています。それは本能だから仕方ありません。承認欲に起因します。承認欲はドーパミン、アドレナリン、セロトニンなどの脳内物質に支配されています。優れている自分の存在を周りに認めてもらいたい本能です。周りに認めてもらうことで承認欲が満たされます。でもそれで終わりません。お釈迦様が、「人間の欲望はヒマラヤの山を黄金に置き換えても、満足することはない」と仰っているように、一つの承認欲が満足されても、また別の承認欲が生まれます。それでは、人生、死ぬまで承認欲を満足し続けるのか?それは人によって異なるかもしれません。なぜならば、勝負ごとが好きな人もいるからです。
自分は勝負ごとなど嫌いだ、と思う人もいるでしょう。アイツに勝ちたいなどとは思わない、と思われているかもしれません。でも、そう思っている時点で、すでにアイツを意識しています。本当に勝ち負けに興味がない人には、そもそもアイツの存在自体ありません。勝負するしないは人それぞれですが、勝負の仕方をもう少し工夫すれば、いつの間にかアイツに勝っていることもあり得ます。「戦わずして勝つ」でも書きましたが、これは孫子と呼ばれている孫武が記した兵法に書いてあります。戦うときに、ついついアイツと同じ土俵の上で、戦おうとしてしまいます。それで勝てると確信を持てる人はいいですが、普通はその時点ですでに負けている可能性が高いです。
相手の土俵で戦うのではなく、自分の土俵の上で、自分をさらに鍛える。何でもいいです。楽器を習得する。英語を身につける。プログラミングのスキルを付ける。資格を取る。何か自分だけの特技を身につける。ただし、気になるアイツは持っていないスキルです。そして、10年、20年続ければ、気が付けば、自分の特技として身に付きます。その時、もう一度、アイツを思い出したら、自分が思っていたアイツとの勝ち負けがつまらないものに見えてくるでしょう。ただ、人間、それができるのは若いうちだけかもしれません。年を取ってくると、そもそもアイツのことなど、どうでもいい、と思えてきます。それは気力、体力が衰えてしまうのが原因でしょう。逆に言えば、アイツと競えるのは若いうちということにもなります。
