俯瞰力を鍛える方法その2
私は会議で配布された資料を見て、すぐ誤字脱字を見つけてしまう「くせ」がありますが、誰も指摘しないので、私が指摘することがよくあります。40年近くプログラミングをしていると、資料がプログラムに見えてきて、ついつい「バク」取りをしてしまいます。プログラムはプラス記号をマイナスに1カ所間違っているだけで、おかしな結果を導くこともよくあります。プログラミングに費やす時間の9割以上はこのバグ取りです。それが職人技のようになってしまったのかもしれません。このくせがついつい、他のことにも出てきます。マインドマップというものがありますが、頭の中を整理するため、個々の事象を書き込んで、それらが関係するときには線で繋いでいきます。なんとなくそれに近い思考をしてしまい、日常生活の事柄をついついマップ上に並べて、繋がりを頭の中で追っていき、抜け落ちはないかと常日頃から思考してしまうくせがあります。
人は他人のことをあまり気にしていないとアドラーが言っているなどと書いてきましたが、実は、私は他人を見ると、その人の背景をついつい想像してしまいます。初老の男性と二十代くらいの女性。普通なら孫をかわいがるおじいさんだろうで話が終わるかもしれませんが、何かよそよそしい。もしや?とか、お弁当の入ったビニール袋をぶら下げて、地下鉄で帰宅を急いでいる4,50代の現役サラリーマン。奥さんはいるのか?それとも独身なのか?奥さんが病気になったのか?それとも喧嘩して夕食を作ってくれないのか?などとどうでもいいことが、無意識に脳裏を横切ります。ある意味、そのような想像を楽しんで暇つぶししているのかもしれません。このような思考過程が普通なのか、そうではないのか、あまり人に聞いたことはありませんが、とにかく、「夢想」するくせもあります。仮に40年間のプログラミング人生がそうさせたとすれば、そこに俯瞰力を身につける鍵があるかもしれません。
私のもう一つの趣味は、シミュレーションゲームです。こちらも同じく40年近く続けています。これまでに、三国志、Sim City、大戦略、Civilizationなどにハマり、そして最近、ANNO1800に夢中になっていました。ANNO1800で作成した、いわゆるメタバースを動画にしてすでにいくつか紹介しましたが、これらのメタバースまで至るのに、700時間以上かかっています。ただし、そのうちゲームの使い方をマスターするのに最初の200時間くらいかかっています。ゲームを始めるのにマニュアルは読みませんし、最近のゲームにマニュアルはありません。Wikipediaなどに独自でマニュアルを作っている人がいますから、何かわからなくなった時にそれを見ながらゲームしています。700時間というと約1ヶ月以上ですから、1日8時間ゲームをしていたとすると、人生の約3ヶ月をこのANNO1800にすでに費やしていることになります。ばかじゃないのと言われそうですが、実はこれはANNO1800だけでなく、ほかのゲームも似たり寄ったりです。
私がやっているゲームはシミュレーションゲームだけですので、指先ゲームはやっていません。1時間やったら、10分は休憩することにしていますし、やるべきことがあるときは、まずはそれを終えてから、ゲームを始めます。夜10時には必ずやめて寝ます。プログラミングとシミュレーションゲーム。実は私のなかでは同じです。言ってしまえば、プログラミングもゲーム感覚でやっています。したがって、仕事と趣味の境界があいまいです。このようになれば、辛いこともあっても、人生をトータルでみれば充実していたと感じるでしょう。楽しいシミュレーションゲームをやりながら、俯瞰力を鍛えることができれば、こんなに楽なことはありません。シミュレーションゲームでは、膨大な数のいわゆる「変数」の挙動を把握していないと、すぐゲームオーバーになります。小学校でもプログラミングが必須になったと聞いています。プログラミングがゲーム感覚でできる若い人たちが増えてくれば、俯瞰力がある人たちも自ずと増えてくるのではないかと、勝ってに私は期待しています。ただし、ゲームのやり過ぎにはくれぐれも注意しましょう。