パワポは人となりを表す
プレゼンにPowerPoint(パワポ)を使うのは今や当たり前になりました。昔、私が大学4年の時は、大きなわら半紙に手書きで字や図を書いて、それを竹棒でめくりながらプレゼンをしていました。その後、原稿を写真撮影してスライド投影して発表したり、その後、OHPと呼ばれた透明のA4用紙に原稿をコピーして、光を当てて投影したものを使ったりして、そしてパワポに移行しました。原稿も手書きから、和文タイプライター(紙に活字を打ち付けて原稿を作成する)になり、パソコンでWordが使えるようになったらば、Wordで作成した原稿を印刷して、OHPで投影したり、数式エディタであるLaTexなどを使っていたこともあります。その後、パワポに直接、原稿や図、写真などを組み入れてプレゼン資料を作ることができるようになって、今日に至っています。ちなみに、パソコンの記憶媒体も、カセットテープ、8インチフロッピーディスク(FD)、5インチFD、3.5インチFD、MO、CD、DVD、USBと変遷しましたが、私はこれらすべてを使うことができた、ある意味、貴重な時代を生きた一人です。今や、クラウドを使えば、媒体自体いらなくなりました。
パワポを使った発表を長年見ていると、パワポの資料が、発表している本人の人となり、すなわち性格を表していることがわかります。まずは、字を大きさと空間の使い方ですが、1ページの白い空間のごく真ん中辺りだけを使って小さな字で資料を作っている学生が見られます。他の学生の資料と比較すればすぐわかりますが、本人はそれがいたって普通だと作成しているわけです。性格を当てはめれば、慎重、内向、遠慮型、あとはあまり自信がないときに、字が小さくなるようです。逆を考えれば、字が大きすぎたり、ページからはみ出しそうなパワポを作る学生は、大胆、猛進、自信過剰や思慮不足、の傾向があります。他にも、誤字脱字が多い、1ページにやたらたくさん文字や図を詰め込む、各ページごとの文脈の繋がりが希薄、ページのヘッダーがページの中身と合わない、図のキャプションがない、など。これらは本人の性格に深く関連していることが、長年の経験でわかります。
一方、中身自体に踏み込んで見てみると、本人の理解度や探求心がよくわかります。いずれにしても、一番感じることは、大学入試では同じレベルで入学してきた学生が、高々4,5年の間にここまで差が付くのかと思えるほど、差がついているのがわかります。突然そのようになることはありませんので、徐々に差がついてしまったわけです。ひとえに、それは本人のやる気という以前の話で、本人がいかに興味を持っているか否かにより、徐々に差がついてしまったと思われます。興味の有無にかかわらず、仮に義務だと思って、皆さんそれなりに努力していることは確かです。しかしながら、興味を持ってやっている学生と、そうではなさそうな学生のパワポの出来は、こんな言い方としたら失礼かもしれませんが、雲泥の差があります。したがって、本人が本当に興味を持ってやっているか否かが、パワポの資料を見ると、経験上すぐわかってしまいます。ただし、できの悪いパワポだと内心思っても怒ることはありません。学生に対するアドバイスは、相手の性格や、学年なども見て変えています。最近は、ちょっと叱咤激励しただけで、引きこもってしまう学生がおりますので。