論文の書き方
久しぶりにまじめ?な記事です。人生で論文を投稿する機会があるのは、たぶん研究者くらいかと思いますが、そのような研究室に所属した大学生は、当然、最初は論文をどう書けばいいかわかりません。自分が論文なんか書けるのかとも思います。私がそうでした。大学院の学生だったころ、いまはJAXAの角田宇宙センターですが、宮城県の角田に航空宇宙技術研究所(National Aerospace Laboratory, 略してNAL)の角田支部がありました。そこで、機会あってプログラミングのアルバイトをしていたことがあります。そこの雇用主であった研究者の方から、「2年もすれば、論文なんか書けるようになる」と言われたことを覚えています。実際、大学院生になって、2年もせずに、曲がりなりにも論文を書いていました。結論を先に言えば、論文を書くコツは、慣れである、と言ってしまったら、話は先に続きませんが、もう少し、コツを書いてみます。
もう数えていませんが、私もかれこれ、200編以上?論文を書いています。そりゃすごいと思われるかもしれませんが、これまで40年近く、年4,5編、論文にも日本語、英語、2ページから10ページ以上と様々ありますから、普通これくらいにはなります。直接自分で書いてなくても共著のものを入れれば、300編は軽く超えています。これだけ書けば、たしかに慣れてきます。英語の論文執筆もほぼパターン化してきます。そうなんです。ある程度書いていると、みんなほぼ同じパターンで書くことができるようになります。ですから、最初の数編を書くときに、そのコツを習得すれば、その後は同じパターンで書けばいいだけです。あとはコンテンツになります。コンテンツがないと、そもそも書くことはできませんので。
まず最初に、白紙の状態から論文を書くのは野暮です。Wordで白紙と睨めっこして、さあやるぞと思っても、その先にはなかなか進みません。それではどうするか? その1は、先輩からサンプルを入手してください。先輩や先生が書いた同類の論文原稿をWordで入手しましょう。そこには先輩が投稿した論文原稿があり、最初にタイトル、そして著者、緒言、・・・とあるはずです。その2は、タイトルと著者名だけ変更しましょう。これから書く論文のタイトル(仮で結構です)をすでにあるタイトルと置き換える。そして、著者名も自分の名前に置き換える。すると、不思議なことに、論文を半分以上書いた気分になります。しかし、書かれているのはまだ先輩が書いたものです。その3は、それぞれ書かれている章を自分のものに置き換えていきます。論文には、緒言、方法、結果、結論、参考文献などがすでに書かれています。アブストラクトが最初にある論文もあります。これらを自分のものに置き換えていきます。
何から置き換えていくか?論文を書こうとすると、たぶん最初から書こうとしますから、緒言から始めようとしますが、これも野暮です。実は論文のなかでは、緒言を書くのは、一番時間の取られるところです。なぜならば、過去の研究を引用しなければならないので、それらを調べなければならないからです。したがって、緒言から書き換えてもいいですが、しっかり書く必要はありません。大雑把にあらすじが決まっていれば、とりあえず、それを書きましょう。むしろ、最初に書くのは結果の部分です。自分がやった研究で、結果が得られているならば、その図なり写真なり表なりをWordにコピーします。そして、その説明を書きます。すると、結果の部分がほぼ完成します。次に、方法、もしくは結論を書きます。これらを書きているうちに、結果の考察が変わってくる可能性もあります。これらがほぼ揃ってから、そのストーリーに合わせて、緒言を完成させて、論文内で引用した論文を参考文献に加えます。
ここで書いたやり方は、あくまで私流のやり方ですが、いきなり気合を入れて白紙から書こうと思わなくても、徐々に論文は完成していくはずです。タイトル、自分の名前、そして結果を先に書くと、不思議と書くモチベーションにも繋がります。少なくとも私の場合はそうでした。一つ書き上げれば、それをサンプルにしてまた書けばいいわけです。最後に一つだけ。英語はともかく、日本語の「てにをは」は、その人の人生の縮図のようなものです。こればかりはすぐにどうすることもできません。先生や先輩に添削してもらうしかないでしょう。何回か添削してもらえば、論文の「てにをは」も自ずとわかってくるはずです。