価値観について日本人再考縄文文明

言霊

 自分の名前にはどのような意味が込められているか、一度くらい考えたことがあるかもしれません。私の名前は「悟」ですが、最初の拙著にも書きましたが、私の母方の祖父がお寺の住職に名付けてもらったということを聞いたことがあります。よりによって、たいそうな名前を付けたものだと思いますが、仏教を象徴するような名前を付けられたことが脳裏にあり、悪いことはできないのかなと、一応真面目に生きてきたつもりです。ただ、それを付けたと思われるのは、祖父が檀家になっていた曹洞宗のお寺の住職であると思われ、これも先に書きましたが、キンキラキンのお寺で、事あるごとに息子と2人で、クラウンに乗ってお布施を貰いに来ていたのを見たことがあるため、あまり好きにはなれませんでした。もしかしたら、その先代かもしれませんが。

 古代から、日本では言葉に魂が宿るとされて、その魂のことを言霊(ことだま)といいます。言霊という言葉が初めて使われたのは、万葉集であるとされ、たとえば、巻5-894の山上憶良(やまのうえおくら)の歌には、

神代より言ひ伝て来らくそらみつ大和の国は皇神の厳しき国言霊の幸はふ国

神代から言い伝え来ることには、空に充ちる大和の国は、統治の神の厳しき国で、言霊の幸ある国

と書かれているそうです。古代から言霊というものが信仰されていたことを示唆しています。言霊ほどではありませんが、以前、オノマトペについて書きました。さらさら、ざーざー、ぶーぶー、ぴーぴー、と書けば、日本人なら、何の音かわかります。蝉の鳴き声はポリネシア人を除く外国人には雑音にしか聞こえない。日本人がそのように言われても、逆に信じられないのですが、ミンミン、ツクツクボーシ、と言えば、蝉の鳴き声であることは、日本人ならわかります。これは、日本人が古代から、音を言語化してきた証拠でもあり、日本人は音を左脳で理解しています。

 ここからは少し、都市伝説の領域に踏み込みますが、「カタカムナ」は聞いたことはありますでしょうか?1949年に楢崎さんという方が発見したという古代の文献で、学会などで認知されていないので、都市伝説レベルに扱われているものですが、古代の神代文字の一つで、○と直線からなる記号のような48の文字からなるカタカムナ文字で書かれた文献です。それを現代語に翻訳されたそうです。これについては、まじめに研究されている方もおられ、その本を1冊途中まで読んだこともあります。その骨子は、カタカムナ文字はひらがなに一対一で対応しており、1文字すつに意味、すなわち言霊が込められているというものでした。興味を持った私は、まず自分の名前である、さとる、の「さ」と「と」と「る」について調べてみました。みなさんもネットで調べればすぐ見つかります。すると、何か当たっているぞと、ついつい思ってしまうことが書かれていました。ただ、念のため、他の文字についても見てみたところ、何か同じ様なことが書かかれている、のかな、ということで、信じる信じないはみなさん次第です。とにかく、日本語はひらがな1文字でもいろんな意味を持ちます。それは国語辞典を引けばすぐわかります。

 ひふみ祝詞(のりと)という歌があります。

ひふみ よいむなや  こともちろらね  しきる ゆゐつわぬ そをたはくめか  うおえ にさりへて のますあせゑほれけ 

3・5・7字の繰返しになっているようです。また、いろは歌と同じで47文字からなり、同じひらがなは使われていません。「ひふみ よいむなや」は、1から8までの数字を指します。この言霊からなる1節を何回か唱えると、宇宙の万物に繋がることができる歌のようで、ネットで調べれば、曲が付いたものもたくさん見つかります。さあ、どうでしょう。信じる信じないはみなさん次第です。ちなみに、祝詞は神社で祭祀の際に唱えるものです。これは都市伝説ではなく、昔から受け継がれている神道の儀式です。