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締め切り

 朝6時に起きて、6時半に食事を食べて、8時に出社する。明日までに授業のレポートを提出する。彼氏と10時に駅で待ち合わせする。子供を保育園に連れて行く。夕食の具材をスーパーに買いに行く。約束の時間に友だちとネットゲームする。など、挙げれば切りがありませんが、いずれも自ずと時間が設定されており、その時間までに事を進めた方がいい事例です。これらの時間は、言い換えれば、締め切りになります。世の中、大体の事はこの締め切りに従って、行動すれば解決します。締め切りがあるゆえ、行動できるということもできます。でも、その時間がなかなか守れない人もいます。

 それでは、締め切りがないことをやるためには、どうすればいいでしょう。そんなこと、世の中にあるのかと思われますが、たとえば、いつまでにダイエットする。酒・たばこを止める。ゲームは1日1時間以内にする。これらには一応、締め切りがあるかもしれませんが、その締め切りは自分で決める締め切りです。強制力はありません。強制力がない締め切りは、ややもすると、締め切りの効力が失せてしまいます。そのため、三日坊主になったりします。これらが守れなくても、命に支障はありませんし、また設定すればいいだけです。一方で、私のような研究者は、強い意志がないと業績にも影響するので、結果的に自分の将来にもかかわってきます。その典型が、論文の締め切りです。

 論文にも、学会で発表する論文と、学会誌に投稿する論文があります。前者は締め切りが強制的に設定されていますので、比較的守りやすいのに対して、後者はあくまで自分で設定するため、計画的にやらないと、いつまで経ってもできません。でも、論文が書けないと、研究者としては致命的です。だから、必死で書こうと思うのですが、思いとは裏腹に、行動に移すことができない場合もあります。それでは、その違いは何なのか?一つはそれをやり遂げるだけの強い意志があるかどうかです。それをしなければ、後で大変なことになると思えば、強い意志も生まれます。大学受験などはいい例です。入試までの道のりは比較的長いので、その中で計画的かつ効率的に勉強する必要があります。幸い、自分の希望する大学に受かりたいという願望は強い意志になるかもしれません。就職活動なども同様です。

 一方で、昇進試験、技能や資格の習得、特技のマスターなどでは、どの程度、強い意志が持てるか人ぞれぞれかと思います。別にクリアしなくても、死ぬわけでもありませんし、会社を辞めなければならないわけでもありません。でも、自分と同期が先に会社で出世する場合もあります。その時に何を思うか? でも、大学受験ほどの強い意志がなかなか生まれないでしょう。普通は、締め切りがあっても、ギリギリまで対応を引き延ばしてしまいがちです。それでは、どうすればいいか? 私の場合は、締め切りがあるものは、それを早く終わらせないと落ち着きません。そのため、たとえば、3ヶ月後に締め切りがある原稿も、依頼されてから2週間くらいでその9割近くは書いてしまいます。そうすると、気分も落ち着きます。そして、2ヶ月くらい寝かせてから、また書いて完成させます。

 何かを依頼されたり、思い立ったりすると、それが頭の片隅に居座って、それを早く取り除かないと気分が悪い。このような行動原理で生活できるようになると、一旦頭に浮かんだことは早く解決したいと思うようになります。締め切りのない論文も、一旦書こうと思い立つと、そこでスイッチが入ってしまい、早く完成させたいと、むしろ思ってしまうのが、私です。締め切りがあることに対して、そのように思えるようになると、締め切りがないことに対しても、同じように行動できるようになってきそうですが、いかかでしょう。