処世術について緊張して恥かこう

緊張して恥かこう

 学会の発表、大学入試、就職面接、上司の前でのプレゼン、婚約者の親との面談、など誰でも緊張しますね。私も若い頃は学会発表でよく緊張して、頭が真っ白になったことがありました。急に腸過敏性症候群(要するに下痢)に襲われたことも複数回あります。いつもは陽気で気さくなのに、これらの場面になると、突然緊張してしまう人もたくさんいると思います。緊張するのは、特別なことではなく、人類に備わった生理機能です。でもなぜ緊張してしまうのでしょうか?私の場合は、準備不足が最大の原因だったようです。準備不足が不安感を助長して、もしかして失敗してしまうのではないか、失敗してはずかしい思いをしてしまうのではないかという心理になり、不安の悪循環に陥っていました。発表練習が1回だけだったりすると、間違いなくそうなっていました。でも、3回程度やると不思議と話す内容をほぼ暗記してしまうようです。7回繰り返して本を読めば暗記できると言っている方もいますが、さすがに普通は集中力が続かず飽きてしまいます。そこまでやらなくても、やはり事前の準備はちゃんとしないと緊張してしまうようです。

 大事な場面で緊張して、はずかしい思いをするのはいやだ、と考えるのはごく自然です。でも、心理学者のアドラーは、自分が気にしているほど相手は気にしていない、といっています。たとえば、地下鉄に乗って吊革につかまっていた時、服に穴が空いているのに気がつくとします。ところが、その前に異性が座っていました。その人は穴が空いていることに気がつくかもしれませんが、まず指摘する人はいないでしょう。その後、その人は地下鉄からなにごともなく降りていきます。別に実害はありません。学会の発表で緊張して恥をかいた。聴衆がそれを覚えている。結果的に覚えてもらったわけですから、儲けものです。そつなく発表をこなしても、むしろ記憶には残っていないかもしれません。

 もしどうしても緊張した場合には、腹式呼吸で大きくゆっくり4回深呼吸すると緊張が和らぐそうです。実践してみてください。