健康について回想録激腹痛そして結石

激腹痛そして結石

 いまでしたらば、スポーツの休憩時間にスポーツドリンクなどを飲むのは常識ですが、我々が高校生の頃は、運動しても水を飲むなといわれ、実際に部活でバスケットの練習中はいっさい水分補給はできませんでした。教授に成りたての頃、やる気にも満ちていたのか、仕事も急に増えたにもかかわらず、当時の自宅が職場に歩いて30分くらいの公務員住宅でしたので、歩いて職場まで通っていたことがあります。ただし、私の職場は青葉山という小高い丘(山?)の上にあるために、出勤時は坂を上らなければなりません。特に夏場は結構な汗をかきました。けれども昔の習慣からか、職場に到着後に必ずしもすぐ水分補給はしませんでした。その代わりに、夏にも関わらず、深入りで濃い目の熱いコーヒーを砂糖ミルクなしで1日に、朝、10時、昼食後、3時、夕食後の5回ほど飲んでいました。

 そんなある日、突然耐え難い腹痛に襲われ、その痛みは救急車レベルで、数十分悶え苦しんでしまいました。でも、その後痛みは徐々に和らぎました。本来この時点で診察してもらうべきだったのかもしれませんが、よく言われる正常バイアスが働いてしまい、たまたま腹痛になったのだろうとやり過ごしました。ところが、今度は職場で仕事中、急にまた激痛に襲われ、立っていることもできず、部屋にあったソファーの上で悶えてしまいました。顔面も蒼白状態です。いやな予感が脳裏を過ぎて、まさか「癌」かとか、「死ぬ」のではとか、結構気が小さいので、今度は過剰反応を起こしました。それでもなぜかまだ病院に行く決断がつきませんでした。何回か激痛に襲われた後のある日、トイレで小便をしていたところ、血尿が出ていることに気がつきました。その時初めて、こりゃ病院だ、ということで仙台公済病院の泌尿器科を受診したわけです。

 医師と問診をして、その後レントゲン撮影しました。けれでもよくわからず、次に投影剤を注射してからベットに横になった状態でのレントゲン撮影することになりました。公済病院の検査科は地下にあり、なんか暗い雰囲気で、担当していた看護士(女性)が二人、こそこそ話をしていました。なんの話をしていたのかはわかりませんでしたが、その時私はベットの上で、下着だけで横になっていたのです。撮影が終わり結果を聞くと、またよくわからないということになり、こちらもだんだん不安になります。結局次は、CTスキャンすることになりました。腹部だけですが、ほんの2,3秒で終わりました。ちなみにCTスキャンによる放射線被ばく量は、年間自然被ばく量の10倍以上のようですので、そもそもCTスキャンを多用するとそれで癌になってしまう恐れも否定できません。ほぼ疲れ果てた状態で、改めて診察結果を聞いたら、「ここに石がありますね」と、左の腎臓から膀胱に繋がっている尿路内にひっかかっているのがわかりました。通常は、腎臓内で仮に結石ができても、その大きさが小さければそのまま尿路を通過してしまうようです。尿路の途中で石がひっかかると、腎臓からの尿がつまって腎臓に溜まってしまうため、だんだん脇腹がはって痛くなるようです。重ねて、尿路に引っかかった結石が移動することで尿路内壁を傷つけると腫れてしまうため、これが激痛と血尿の原因でした。尿路結石の激痛は、胆石、すい炎とともに3大激痛といわれており、七転八倒の苦しみが数時間伴うとネット上には書かれています。たしかに、つい救急車を呼んでしまいたくなりそうな状況は、一度経験してみないとわからないかと思います。

 1cm以上の結石は最近では衝撃波をフォーカスする装置で破壊するそうですが、それでも無理な場合には手術で取り除くそうです。幸い私の結石は、6mm程度ということで、痛み止めの薬を飲みながら自然に排出されるのを待つしかないといわれました。また、水を1日2リットル以上飲むようにといわれました。さらに、冗談まがいにか、ジャンプしたり、階段を上り降りするといいですなどと、他人事のようなアドバイスももらいました。たしかにネットでは、ビールを飲むといいとか、都合のいい民間療法などもありました。とにかく、その日から激痛を恐れながらの生活が始まりました。私もなぜ結石ができてしまったのか、ネットなどでいろいろ調べていたところ、心当たりのある原因にたどり着きました。それはコーヒーです。コーヒーにはシュウ酸(あくのようなもの)が多く含まれており、ミルクを入れて飲めば、シュウ酸とカルシュウムが結合してシュウ酸カルシュウムになり、体外に排出されます。ところが、そのままですと、血中に入り込んで、骨のカルシュウムと結合してしまうようです。尿路結石の代表的な成分は、シュウ酸カルシュウムでした。私は、歩いて出勤していた頃、汗をかいても水は飲まず、代わりにストレートの濃いコーヒーをたくさん飲んでいました。さらに後で気がついたのですが、激痛に初めて襲われる数か月前に、左奥歯が重い痛みに襲われて、歯科医院で見てもらったことがありました。レントゲンを撮って診察してもらったのですが、歯科医師は特におかしなところは見当たらないと、代わりに歯石を取られて、余計な治療費を支払わされたことがありました。奥歯周りの骨がシュウ酸に侵食されていたのではないかと、勝手に疑っています。みなさんも、ストレートの濃いコーヒーがお好きで、奥歯が原因不明の痛みに襲われたら、尿路結石の前兆かのしれませんので、ご注意ください。

 その後、コーヒーは朝だけ飲むようにして、一緒にヨーグルトを食べることにしました。また毎日500mmlのペットボトルを所持して、研究室の浄水器から継ぎ足しながら、少しずつ飲む習慣を続けています。幸い、再激痛には襲わず今日まで至っています。結石は通常、数か月で尿とともに放出されるらしいですが、放出したかどうかもよくわからない状態で、結石のことも忘れて、1年7か月過ぎたある日、大学のトイレで小便をしていたところ、「チャリン」を音がして、「なんだ?」という感じで、便器を覗いてみたところ、5mm程度のトゲトゲした異様な物体を見つけました。そのとき、「あぁ」とあの時の結石であると把握したわけです。医師が、排出された石を記念に持っている人もいますと言っていたことを思い出しましたが、あまりに異様な物体でしたので、やめました。