人生について価値観について工学博士の給与を2倍に日本人再考

工学博士の給与を2倍に

 お金に振舞わされている今の世の中。金儲けができることにしか興味が持てなくなっています。たしかに生きていくためにはお金は必要です。日本人はすでに一生懸命、働いています。なぜならば、働くことに生き甲斐を感じている人が多いからです。基本は真面目な民族だからでしょう。でもせっかく稼いだお金が、どんどん海外に吸い取られています。30年前は日本企業の時価総額は世界の企業を圧倒して、ランキング上位を独占していました。ところが、いまは上位50社の中にトヨタ自動車しかありません。そんなに日本の企業力は落ちてしまったのでしょうか?そもそも時価総額とは株価に基づいて算出されています。株価が高い企業が上位に上がってきます。最近はIT関連の企業が上位を独占していますが、GAFAを代表するSNS関連の企業は、結局のところ、ロングテール理論に基づき、大衆からサブスクや手数料のような形で広く浅くお金をかき集めているだけです。宗教のお布施に近いですね。それでは、それらの企業に技術力があるかといえば、たしかにいずれも、たとえば、プログラミングに長けた、ある天才(本当かどうかは別として)がいて、独創的なアイデアで開発したプラットフォームがその後、爆発的に普及したことも事実です。そのプラットホームが一つあって、たくさんのサーバーとデータセンターがあれば、あとは世界中から、寝ててもわっさわっさお金が集まって、集まりすぎて使うのに困って、挙げ句の果てには迷惑なこと?にも使い出します。

 時価総額が高いからといって、技術力があることには繋がらないでしょう。時価総額イコール企業価値であることはたしかですが、結局のところ時価総額を釣り上げているのは投資家であり、大口投資家(ヘッジファンドとか、ハゲタカとか呼ばれる?)の思惑で株価はいかようにも変動させられています。そして、時価総額の高い企業から株式の配当として大金を巻き上げています。日本の大企業のほとんども、外資に株が買い漁られて、その配当が吸い取られています。株による経済、すなわち資本主義を考えた人は天才ですが、それを悪用?している人たちも悪賢い?人たちです。企業を創業する際には資金が必要で、それを株式市場から調達するのは手っ取り早い方法です。でも、すでに大企業が引き続き、株式市場に上場しなければならない資本主義には矛盾が多いと私は思います。なぜならば、ただの高利貸しが企業の運営までも支配してしまい、配当を釣り上げるのでは、芋虫の汁を吸う蜘蛛のようなもので、エキスがなくなったら、はいおしまい。一生懸命働いている社員の給与が30年間ほとんど上がっていないだけでも、企業の発展や社員の幸福には貢献していないでしょう。資本主義は自由主義の象徴だと思っていた私も、最近、資本主義は変、だと思うようになりました。企業力のある企業はなにも株式市場に上場せず、非上場でやっていくという選択肢もあります。創業一族が運営する企業など、たとえばサントリーなど、非上場な企業もあります。

 創業一族が企業を支配しているのはけしからんといって、上場を迫って上場したのが、JRであり、JTであり、NTTであり、日本郵政です。日本政府が創業者でした。国有企業の多くがいま民営化されています。赤字体質だった国鉄が民営分割化により、JR東海や東日本などは黒字になりました。でも、JR北海道は赤字が続き、不採算の路線を廃止しました。いまから思えば、これら民営化も、株式市場に上場して、外資が株を買い占めるための外圧によるものであったことがわかってきました。その当時の首相が小泉首相だったり、その参謀が竹中平蔵だったりしていたわけです。郵政民営化で民意を問うと解散総選挙した際には、国民の大多数が小泉首相を支持して、自民党は大勝しました。そのときに、いまこのような状況になるなどということを想像できた人はほとんどいないでしょう。私も当然その一人でした。今や、日本の大手企業は外資に買い漁られています。土地も買い漁られています。いまの日本人を例えれば、ゆでガエル状態ですね。近々、後の祭りが始まるでしょう。何度も書いているかもしれませんが、私はすでに諦めモードです。残りわずかな人生を飢えずに死ぬまで食べて行ければ、それでいいと思っています。これからの日本は若いみなさんが、如何に早くこの現実に気がつき目覚め、それぞれが立ち上がって行動するかにかかっています。

 悲観的な話しの中で、タイトルにもある日本復活の処方箋について最後に書きます。日本の国力を支えているものは何かといえば、技術力に他なりません。資源も乏しい島国の日本は、食糧、燃料を輸入に頼らざるを得ません。それを相殺してあり余るだけの技術力があります。時価総額ランキングを見ただけで、日本の技術力も落ちたと思うのはとんでもないことで、いくらお金で支配しても、良質な物づくりは日本人以外に代えがたいものがあります。自動車、鉄道車両、発電機器、など大型で多数の部品を使用した機器は、その細部を見れば、日本製かそれ以外では完成度が全然違います。日本製以外は見た目が同じでも、見えない細部の作りは日本製と比較すれば、はっきり言って粗雑です。結局、細部のできは、設計に携わる技術者と現場の職人の質にかかっています。そもそも、ソーラー電波ウォッチ、ミラーレスカメラ、さらには半導体製造装置などの精密機器の開発は他民族には無理でしょう。日本人が他民族と比較して、いかに緻密で勤勉かということを象徴しています。技術力をさらに高め、付加価値の高い工業製品を造ることで、世界を先導することが、これから日本が生き残る唯一の方法であると思っています。それにしてもそんなコアになる技術者の給与が安すぎる。私は工学博士の給与を2倍にすることを提案します。もしそうなれば、工学系の学生はみんな博士課程に進学して、博士号を持ったエンジニアが倍増し、世界と競争(博士号を持っていないと相手にされない)できる強力なエンジニア国家を形成することができると信じています。

 現在、工学博士取得者は日本で高々1万人です。その平均給与を1000万円から2000万円にしたところで、1000億円です。何兆円もワ○チンに費やすことを考えれば、それで日本が本当に活性化するのであれば、安いものです。ワ○チンに何兆円費やしても、日本は決して活性化しません。企業で働く工学博士取得者の給与の同額を国が追加支給すればいいのです。でーも、いまのア○な政○家と○能な○僚が理解するのは到底無理かと...