少子化と移民
日本人の出生数は毎年どんどん減って、昨年1年当たりの出生数は70万人を下回り、68万人でした。仮にこれがこれから100年続いたとしても、6千8百万人しか増えないことは小学生でもわかります。でも、昨年の死亡者数が、約160万人ですので、毎年、日本人は約90万人ずつ減っているということになります。理論的にはあと、130年後には日本人はいなくなります。そんな状況で、労働人口もどんどん減っているので、特に地方では、不足分を外国人の労働力に頼らざるを得ない状況になっています。そのため、海外からの移民を推進するという政策についつい期待してしまうのでしょう。外国人も働き口があれば、日本にやって来るでしょう。ふと、私の周りでも少子化に伴って、学会の新規加入者がどんどん減っていき、学会の運営がままならない状況になっています。ただ、学会で移民の外国人を加入させても、外国人にとっては何の利益にもなりません。結局、既存の会員にしわ寄せされて、負担がますます増えています。そんな姿を見ている若い人は、学会には所属したがらなくなるのも必然です。
最近、女性の働く機会を増やすため、男女共同参画が推進されています。それにより、不足した労働力分を少しは穴埋めすることを期待しているのでしょう。それに加えて、外国人も増やす。これで、日本の経済を少しでも下支えする。でも、これらがやむを得ないことだと思ってしまったら、たぶん、日本は終わります。一見、最もらしい政策ですが、根本的なことを棚上げしていないでしょうか? それは、そもそもどうして少子化してしまったのか、ということです。以前の日本では、人口が増加していました。特に戦後のベビーブームなどがそうです。戦後の復興を下支えする日本人が必要でした。その結果、日本の好景気にも繋がっています。当時、女性は家庭にいて、子育てに従事していたことは、容易に想像できます。長い歴史の中では、家内というように、伝統的に日本では女性が家庭を守っていました。それが戦後、核家族化して、女性の社会進出が進んで、結婚しない女性も増えて、結果的に日本の出生率は減っていきます。
ではなぜ、いま日本の人口が減るくらいに少子化してしまったのか? そんなもの少し考えれば、すぐわかります。子育てに充てる十分なお金と時間がなくなってきたからでしょう。ここ30年近く、日本人の労働賃金はほとんど上がっていません。夫だけで家計を支えることが厳しくなり、夫婦共働きにならざるを得なくなっています。でも、共働きすると、必然的に子育てする時間的余裕もなくなり、子育てという点で悪循環に陥ります。最近は、男女共同参画が推進されて、ますます共働きが増えるか、独身を貫く女性も増えていくはずです。働くことを希望する女性に機会を与えることはいいことです。でも、やむを得ず働かなければならないとしたら、どうでしょう。もし、子育てに当てる十分な手当の支給があるとしたら、仕事をしながら、子供を育てる必要もなくなり、子育てに専念することもできます。
いまの政府は、外国にはたくさんお金を支援しています。そんな余裕があるのならば、まずは子育て世代に充填すべきではないでしょうか?仮に年間1兆円のお金を子育て世代に支給できれば、二十歳までの二千万人の子供に毎年、月当たり4万円を支給することができます。3人子供がいれば、12万円です。現在もすでに、子供手当は支給されており、月当たり15000円程度は貰えます。第3子はその倍くらい支給している自治体もあります。それにさらに、月々4万円が上乗せされるとすれば、どうでしょう。一時的な労働力は減るかもしれません。でも、長期的に見れば、少子化の根本的な原因を解決することができると、私は思います。少なくとも言えるのは、いまのままなら、先に書いた通り、どうもがいても、130年後に日本人はいなくなるか、もしくはその前に移民が増えすぎて、日本自体が日本でなくなるか、のいずれかであることは疑う余地がありません。
みなさんが生きているうちに、そうならないことを祈ります。でも、この背景には、もっと深い「闇」が潜んでいることに、私はすでに気が付いていますが、ここでは触れないことにします。