信頼
みなさんは信頼できる親友、さらには朋友と呼べる人はおりますでしょうか? 信頼は英語ではトラスト(Trust)になります。信頼という言葉は良く聞きますが、本当に信頼できる人は周りになかなかおりません。昔の中国の諺に、「刎頸(ふんけい)の友」があります。史記にある戦国時代の話ですが、詳細はネットで調べればわかりますので、ここでは書きません。刎頸とは、「首を切る」という意味で、要するに、友のためなら首を切られても構わないほどの関係の友です。首切り自体、いまの時代にはそぐわないのですが、そんな関係の親友はいないでしょう。昔の中国にはそんな関係が美談として語られていたかもしれませんが、いまの中国にはなさそうです。
信頼関係が崩れたら、カップルや夫婦は別れたり離婚したりするでしょう。信頼できなくなった友だちとは、距離を置こうと思います。信頼できない取引先とは、契約を打ち切ります。このように信頼できなくなった相手とは関係が壊れます。本来の信頼とは、ちょっとしたことで壊れるものではないはずなので、元々の信頼関係がどんな形で始まったか、よく振り返ってみるべきかと思います。一見、信頼関係にあると思っていても、実は、単にお金で繋がる関係だったりします。結婚した夫婦も、夫の収入が多いから、それに便乗して結婚したとか。出会い系サイトで相手の収入をまず見てから、付き合い始めるとか。お金で繋がっているうちはいいですが、お金がなくなったら、はい、さようならと。金の切れ目が縁の切れ目、となります。
本来は人と人との関係を意味する言葉ですが、国同士の信頼関係はどうでしょう。日本と本当に信頼関係のある国はあるでしょうか?そもそも、国同士に信頼関係を求めること自体、間違っているかもしれませんが、○○同盟とか呼ばれる関係を結んだ国同士は、一応信頼関係が成り立っていることが前提です。でも、これまでもたくさんあった○○同盟は、信頼関係というよりは、利害関係に基づく関係であることくらいはすぐわかります。たとえば、戦前に日英同盟というのがありました。日本と英国は仲良しだった、と思ったら大間違いです。戦前(今も?)の英国くらい、好き勝手にやっていた国はありません。インドを植民地化していた英国はソ連からの干渉を抑えるために、太平洋側からの防波堤として日本を利用していたに過ぎません。そんな日英同盟も、邪魔だと思っていたアメリカに壊されました。そして、日本は独伊と同盟して、第二次世界大戦に突入して、負けました。
さて、いま日本には信頼できる政治家がおりますでしょうか? どこかの国のため一生懸命になっている政治家はむしろたくさん見受けられますが、本当に日本人なのでしょうか?本当に日本人ならば、日本人のためになる政治をするのは至極当然なのですが、そうでないのは、実は日本人ではないか、日本人の心を捨てたのか、いずれかでしょう。お金で繋がった信頼、脅し?で繋がった信頼、そんな信頼関係に、本当の日本人ならば、価値を見いだすことはないだろうと、私は信じます。縄文文明に始まる日本民族は、お金で繋がるような安い信頼ではなく、本当に心で繋がった信頼を、本能的に望んでいます。東日本大震災後の日本人を思い出せば、わかりやすいでしょう。大災害があった時に、暴動が起きるのは必然だと思っている他国の人たちには、まったく信じられない光景だったことでしょう。
トランプ大統領が、輸入品に関税を掛けようとしています。これまで安いからという理由で買っていた商品は、その魅力が半減します。信頼はお金で買えるものではありません。日本人なら誰でもわかります。その価値観にアメリカ人が気付いてくれれば、やはりMade in Japanがいい、と思って貰える良いチャンスかもしれません。本当の日本人ならば、人を騙してまがい物を売りつけようなどとは思わないと、私は信じます。