何でも吸収してしまう日本人

何でも吸収してしまう日本人

 10月29日に韓国の梨泰院で起きたハロウィン圧死事故では、150名以上の人が亡くなりました。まずはお悔やみ申し上げます。梨泰院という場所も知りませんでしたし、まして韓国でこんなにハロウィンが盛り上がっていたのも知りませんでした。でも、もともとは日本でお祭り化していたハロウィンが韓国に伝染したという話もあります。いずれにせよ、自分の命は自分で守る。いつ何時、何が起きるかはわからない。異常な人込みは避ける。ということでしょうか?もともとハロウィンとは何なのか、私もよく知りませんでしたので、ネットで調べてみたところ、古代ケルトが由来のようです。古代ケルトのドゥルイド教では、11月1日が新年に当たり、10月31日は先祖の霊が戻ってくると信じられていました。ただ、悪霊も一緒にやってきて、子供をさらったりするので、子供に仮装をさせて、悪霊をだましたり、魔よけの焚火などをしていたようです。日本でいえば、まさにお盆といっしょですね。アメリカでも、仮装した子供が各家をまわってお菓子をもらうのが毎年恒例の行事になっていますね。でも、いつだったか忘れましたが、仮装して訪問した子供を強盗と勘違いして、銃殺してしまったという痛ましい事件もありました。悪霊払いの儀式をもてあそぶと、本当の悪霊が取り付いてしまうのかもしれません。そんなことつゆ知らずで、みなさんハロウィンのお祭りに参加して、仮装大会を演じているのでしょう。

 ハロウィンの良し悪しについて、書くつもりはありませんし、みなさんが楽しんでいるイベントにケチを付けるつもりもありません。似たようなイベントは、日本にはたくさんあります。大晦日とお正月は昔から日本にある伝統的な行事です。節分、ひな祭り、お花見、端午の節句、お盆、お月見、などは昔から続く伝統的な季節の行事です。それらに加えて、クリスマス(イブ)、バレンタイン、ホワイトデー、そしてハロウィンが仲間入りして、年中イベントがあります。以前も書きましたが、大晦日は仏教、お正月は神道、クリスマスはキリスト教。なんで日本人はこんなに節操がないのか?、という疑問に対して、いろんな知識から、日本人は生まれながらにして、神道であり、あらゆる物に神が宿る、「八百万の神」への信仰が、すでに遺伝子に組み込まれているのではないかという認識に至りました。縄文の時代から続く、島国である日本ならではの自然環境が必然的にそうさせたと確信しました。草木国土のすべてのものに神が宿るとすると八百万の神信仰。最澄が唐から日本に伝えて、草木国土すべてが成仏すると拡大解釈された、天台宗から始まる日本仏教の教え。それは神仏習合の思想であり、日本では神道と仏教が融合しました。天照大御神は太陽神であり、八百万の神の代表みないなものです。ヤハウェ、イエス・キリスト、アッラーも八百万の神の代表であると位置づければ、日本人には何の抵抗もなく受け入れることができるでしょう。したがって、大晦日も、お正月も、クリスマスも、八百万の神のお祭りであると日本人は自然に受け入れていると私は理解しました。

 実際には、新しく始まるイベントは、ビジネスと深く繋がっていますね。ハロウィンを流行させることで、仮想用の服が売れ、子供のお菓子の販売が増えるでしょう。なんでも受け入れる寛容さは性善説が根付く日本人ならではのことであり、いいことです。ただ、ハロウィンの由来くらいは知った上で、楽しんだ方がいいでしょうね。渋谷に集結して、仮装しながらお祭り騒ぎをするのが、由来と合わないことは先に書いたとおりです。日本のお盆でどんちゃん騒ぎしている人はまずいません。お盆はご先祖様が久しぶりにこの世に戻られる時であることは、おじいちゃんやおばあちゃんからそれとなく聞かされているかと思います。ご先祖がお帰りの時に、どんちゃん騒ぎはあまり馴染まないでしょう。本来のハロウィンも、お盆と同じです。あまり意識することはないですが、良かれ悪しかれ、いろんなものを取り入れて、すぐ改良することができるところが、日本人の一つの特性かもしれません。弥生時代に稲作が大陸から伝わり、収穫量を増やすよう改良したり、秦氏が伝えた養蚕や灌漑技術を取り入れてすぐ応用したり、仏教と神道を融合させたり、ポルトガルから伝わった鉄砲を全国にすぐ普及させたり、してきたと歴史の教科書でも教えています。その真実はともかく、日本人は何でもすぐ取り入れて吸収することが得意です。

 フランシスコ・ザビエルは、日本にキリスト教を伝播したと、教科書では教えられています。本当は何しに来たのかはここでは置いておいて、キリスト教は世界中に伝来しているのに、なぜ日本にはそれほど広がることがなかったのでしょう?日本には、クリスチャンが約100万人いるとされています。日本の人口の1%未満です。世界中のキリスト教徒は約24億人で、世界人口の3分の1はクリスチャンです。日本にも敬虔なクリスチャンはたくさんいるとは思いますが、その方々ははたして、大晦日、お正月、お盆などの日本古来の行事は行わないのでしょうか?自分はクリスチャンでも、先祖は違うという方もおられると思います。あくまで想像ですが、日本の風習を継承しながら、同時にクリスチャンである日本人の方が、圧倒的に多いように思います。当該クリスチャンの方から反論もあるでしょう。あくまで私の視点で解釈すれば、日本ではキリスト教も事実上、神道に吸収されているのかもしれません。日本人は何でも吸収してしまいます。新しい技術もそうです。最初に発明した人は外国人でもそれが役に立ちそうと思えばすぐ吸収して、さらに改良してより良い物に作り変えます。鉄炮が最たる例ですが、船、鉄道、自動車、半導体、などなど周りにたくさんあります。これは兎にも角にも、日本人が器用であり、緻密であり、勤勉であるがゆえの必然であると思います。すでに何度も書いていますが、その起源は縄文の時代に遡ります。なかなか他国の人たちには真似ができません。みなさん、そんな自分にもっと自信を持ちましょう。