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人生はシミュレーションゲーム

 お盆休みは、ANNO1800でヘビーゲーマーになっていました。もともとは、ヨドバシで、ずいぶん前にたまたま、ANNO1404というゲームを見つけて、英語版にもかかわらず始めたところ、どハマりしたのがきっかけです。ANNO1404は大航海時代のいわゆる箱庭ゲームで、ヨーロッパと、ナツメヤシが取れる中東辺りのいわゆるオリエントとの交易が中心です。一方、ANNO1800は産業革命時代のヨーロッパと、たぶん東南アジアを想定した植民地との貿易が中心です。あくまでゲームですので、現実にはしてはいけないこと、たとえば、他国と戦争したり、植民地を分捕ったり、仮想的にやっています。もともとは、シブサワコウの三国志がシミュレーションゲームの始まりで、バージョン13までほぼ毎バージョン買ってやりました。あと、これまでに、Civilization IVやV、大戦略やSimCityもいろんなバージョンをやりました。三国志・大戦略・SimCityは最近飽きてしまったので、思い立った時に懐かしくなってやる程度ですが、Civilization IVはANNOと同じく、時々やっています。それもスパイや宣教師が出て来るBeyond the Sword版です。Civilization Vは、 IVの簡略版だったのですぐ飽きました。最近、Civilization VIが出てきましたが、いまのところやらないことにしています。1ゲーム200時間くらいかかるらしく、連休、お盆、年末の休みにやっても完結しないのと、切りのいいところまでやらないとやめられないので、下手すると廃人になってしまうのを恐れて。

 ゲームをやりすぎて、現実と仮想世界の区別がつかなくなったり、頭がおかしくなって、事件を起こした人もおりました。以前も書きましたが、ゲームは依存症になる恐れがあり、それはドーパミンと関係しています。おかあさんに、「ゲームばかりやってないで勉強しなさい」と言われた人もいるでしょう。幸い、まだ私が高校生までの頃は、そもそもパソコン自体ありませんでしたので、そのように言われたこともありません。「勉強しなさい」と両親から言われた記憶もなく、むしろ、「早く寝なさい」とよく言われていました。ドーパミンの分泌から考えれば、ゲーム中に、「やめろ」と言われることくらい、精神衛生上良くないことはないでしょう。なぜならば、ドーパミンが中毒状態を作り出しているからです。どうすればいいかと言われれば、飽きるまでやるにつきます。したがって、私も一端ゲームを始めると、やめられなくなることは重々承知していますので、始める前に、やるべきことをすべてやってから、「さて地獄に行くぞ」の覚悟でゲームを始めます。一端始めると、1日10時間くらいやっているのは普通で、というよりは、食事と入浴以外の時間はすべて充てている?ただし、当然、1時間やったら10分程度休憩を入れるように心がけているのと、夜は10時過ぎには必ず寝ます。したがって、3連休以上の休み以外には、基本的にゲームはやりません。

 悪いことばかりのゲームのようですが、これも以前書きましたが、特にシミュレーションゲームは、適度にやれば、「俯瞰力」を養うのにこれくらい打って付けのものはないと私は思っています。なぜならば、ANNO1800もCivilization IVも、とにかく、ゲーム全体の流れが把握できていないと、まず勝てません。たとえば、ANNO1800では、自分の国以外に他国が3つあり、海賊が2組織います。それぞれの国は、島を複数占領して、開拓し、島に住む住民が、農家->労働者->職人->技術者->投資家と成長するよう、それぞれの島にある資源を船で移送して、食糧や道具を開発していきます。しょっちゅう、国同士、そして海賊と戦闘状態になります。ANNO1800では、魚、シロップ(ドリンク)、パン、ソーセージ、缶詰が、職人までの食べ物です。たとえば、缶詰を作るためには、牛肉、赤とうがらしが必要で、牛の農場と赤とうがらしの栽培が必要になり、さらにそれらを調理する、「職人キッチン」や「缶詰工場」を作るためには、木材、レンガ、鉄資材、窓ガラスが必要になり、これらも作るために、木、粘土、鉄鉱、石炭、けい砂、木工所、レンガ工場、溶鉱炉、鉄工所、ガラス工場、窓製造所、そしてそれらを作るためにその資材と、農民、労働者そして職人が必要になるなど、このようなものが、食べ物だけでなく、着る服、服を作る材料とミシン、ミシンを作る資材とその工場など、さらに、めがね、帆船、蒸気船、自転車、軍艦、武器工場、などなど、あまりに項目が多すぎて数えることができません。

 私の研究は、シミュレーション(数値計算)で、非線形の連立偏微分方程式をスパコンで解きます。それよりも簡単な方程式に、反応方程式があります。これはその名の通り、化学反応を模擬できる方程式です。でも、化学反応だけでなく、最近流行りのコロナウイルスの流行なども、研究者は反応方程式に基づく数理モデルを解いて予測しています。これについては、このホームページにある講義ノートにも書いてありますので、興味があったらご覧ください。実は、シミュレーションゲームは、多変数の連立反応方程式を解いているのとまったく同じです。それぞれの物が、変数になり、それが生産、消費、移動などにより増減します。一つの反応方程式は線形ですが、そこに他の変数(物)の影響が複数あると、非線形性が出てきます。たとえば、ANNO1800では、魚の捕獲量が減ってくると、農民は食糧が減って不満を抱き出し、仕事をさぼりだし、農民が作っている他の作物の出来も悪くなり、今度はそれらを食べている住民に不満が伝播して、急激に収入が減ってきます。職人までの段階では、すぐ資金が底をつきゲームオーバーです。したがって、すべての物の生産を俯瞰的に把握しながらゲームを進めなければなりません。シミュレーションゲームでは、この多変数連立反応方程式のインプットとアウトプットを、ゲーマーが手動で変更しながら、それら方程式をパソコンに解かせているのと同じです。

 シミュレーションゲームは、リアルな世界を仮想的に再現しているわけですから、我々の人生そのものです。我々の近い将来も、多変数の連立反応方程式である程度予測することができるかもしれません。