人生の陰陽
陰陽師は、おんみょうじと読みますが、ここでの陰陽は、いんようで構いません。人生、七転び八起き、というほどではありませんが、だれでも大なり小なり、つまずいて、挫折して、そしてまた、立ち直ります。人生、生まれた時から死ぬまで、何の支障もなく順風満帆で過ごした人はそんなにいないでしょう。そんな感じに見えている人も、実は見えないところで、すっ転んでいるかもしれません。なぜならば、進化論に例えれば、転ぶからこそ、さらに進化できたのだと思います。進化論は間違いだと言われると身も蓋もありませんが。人生、三度は挫折を経験するだろうと私は思っています。私自身がそうでした。何で挫折したかはここでは書きませんが、ホームページを探すと、いずれかの回想が、もしかすると出てくるかもしれません。人は常に不安を抱えたり、悩んだりしています。いわゆる、メタ・スティブル(Meta-stable)な状態にあります。これは、一見、安定しているけれども、ちょっとしたことで、すぐに不安定になる準安定な状態を指すワードです。
プレゼンの前に緊張して、下痢になる。まさにメタ・スティブルな状態です。投資していた株が大暴落する。これもそうです。夫婦げんかが暴走して離婚する。子供が不良になる。PCが突然壊れる。準安定な状態を維持していた事が、突然、もしくは徐々に不安定な状態に移行します。人生のいろんなことが、メタ・スティブルです。常に安定でいたいと人は思います。何ごともなく平穏で暇なのが安定なのか、それとも常に仕事をして生きがいを感じているのが安定なのか、それは人それぞれかと思います。易経に、「窮すれば、すなわち変ず。変ずれば、すなわち通ず」とあります。私が好きな言葉です。ものごと行き詰まってしまう状態になることがあります。にっちもさっちも行かなくなった状態。彼氏・彼女と別れた直後、大学入試に落ちた直後、就職面接で落ちた直後、論文が却下された直後、離婚した直後、家の鍵が開かなかった直後、海外旅行でスーツケースが盗まれた直後、買ったアイスクリームを落とした直後...大なり小なり、みなさんも経験したことがあるかと思います。
さて、そんな時、どのようにしましたか? すぐ解決しそうなこともあるでしょうし、どうしていいかわからないこともあります。悩んで、悩んで、悩んで、また悩んでいたら、なぜかいつの間にか解決していたります。まさに、窮すれば、すわわち変ず、です。そして、一つのメタ・スティブルから、別のメタ・スティブルへ移行します。変ずれば、すなわち通ず、です。生きている限り、このようなことは何度でも経験するでしょう。私もそうでした。私の場合は仕事柄、研究のことが多いですが、解決策がわからず、何度も何度も考えることがよくあります。1週間、1ヶ月、1年考えたこともありますし、そして未だに解決していないこともあります。でも、意外な瞬間に解決したりもします。私の場合多いのは、便座に座って考えている時です。トイレの中でアイデアがよく出てきます。やはりトイレに神様がいるのかもしれません。
人生どこで反転するかは誰もわかりません。良い方向に回るかもしれませんし、悪い方向に回るかもしれません。良い方向に回り出せば、よかったと思うでしょう。でも、それが永続的に続くとは限りません。八卦でも書きましたが、人生はまさに浮き沈みの繰返しです。すなわち、陰と陽の繰り返しです。伏すこと久しきは飛ぶこと必ず高し。辛いことがあっても、耐え忍んで時を待てば、いずれ必ず明かりが差してくる。でも、奢れるもの久しからず。陽に甘んじていると、また陰に落ちていく。こんな浮き沈みの人生の中で、一喜一憂せずに生きて行ければいいのですが、それがなかなかできません。私もそうです。そんな浮き沈みの人生を、後から振り返って、良い思い出だと思えれば、それがまさに人生の陰陽ではないかと、私は思います。
