プレゼンは最初の5分趣味と勉強

プレゼンは最初の5分

 集中力は高々30分しか続かないということを以前書きました。学会の発表などは、だいたい30分以内ですのでまだいいのですが、特別講演とかになると、1時間くらいが普通です。偉い先生のお話しですから、よく聞きましょうと聞き始めるのですが、話のクライマックスを後半に置かれてしまう(あればまだいいがないのがほとんど)と、最初の30分くらいでだんだんつまらなくなり、だいたい眠くなるか聞くのを止めたくなります。まして、大学の講義は90分ですから、聞いている学生が眠くなるのも当たり前です。この話はプレゼンだけでなく、いろんなことに当てはまります。つまらないことを30分続ければ、たぶん飽きてきてやる気が失せます。これを逆手にとって、寝る前につまらないことや、やりたくないことをやると、私の場合はすぐ眠くなってぐっすり寝ることができます。とにかく寝る前には極力脳を刺激しないこと、特にドーパミンが出てくることはやらないようにしています。そのおかげで、睡眠で悩んだことはありません。ただし、歳のせいか、眠りが浅くて目が覚めたり、変な夢をよく見ています。

 聴衆に飽きずに聞いてもらうプレゼンをするためには、どうすればいいでしょう?私がこれまで聞いたいろんなプレゼンで共通している飽きないプレゼンは、最初の5分以内に必ず何かしらの山場があることです。通常プレゼンは、背景、目的、本題、そして結論と進めます。そうしますと、最初の5分は、背景と目的辺りの話になります。ミステリー小説ならば、結末は最後までわかりません。プレゼンも最後に結論を述べますが、聞いている方は早く結論を知りたいので、もったいぶって最後まで結論を先延ばしにしてしまうと、聞いていてだんだん飽きてきます。一つの効果的な方法は、背景の説明にできるだけビジュアルな画像や動画などを使うことです。結果を象徴するような一つの画像などを使うのもより効果的かもしれません。私の場合には、計算で得られた時系列データをCGで可視化して動画にしたものを、タイトルを書いた最初のページに置いたりします。背景としてこれまで解決していない問題点や課題を示し、それについてこのように解決しましたと、気を引く象徴的な結果を一つ最初に見せて、それに続けて、この結果を導くために次のようなことをしました、という感じでプレゼンするのもいいかもしれません。1時間くらいの話になれば、30分単位で話を構成して、それぞれの最初に山場を置けば、聴衆も眠くなることはないでしょう。

 ただ、プレゼンというと、ついつい、無難に、とにかく無難にこなすことばかりが頭をよぎって、その結果、かえって緊張して無難に発表できなかった、ということもよくあります。でも以前にも書きましたが、無難にこなしたプレゼンは本人にとってはいいのですが、意外と聴衆の記憶にはあまり残りません。それだったら、いっそのこと大胆に恥をかいた方が、むしろ聴衆の記憶に残り、さらに名前も覚えてもらえるでしょう。10年後には思い出の笑い話になります。そもそも緊張しないためには、リハーサルが必要であることは言うまでもありません。3回リハーサルをすれば、だいだい覚えてしまっているものです。それから、プレゼンの資料を作る際に欠かせないのは、聴衆にうまく伝えるのはもちろんのこと、聴衆がこれを見聞きした時にどのように思うのかという、聴衆の視点も配慮しながら資料を作ることも大切です。そうしませんと、ついつい独りよがりなプレゼンになり、聞いている方もそう思ってしまうと、私の場合、だいたい聞く気が失せてしまいます。

 季節柄、これからプレゼンを経験する学生の皆さんもおられると思います。ご参考まで。