PC8001とプログラミング
いまから振り返れば、私の研究の原点は、大学1年(1980年)の時にNECのPC8001を買った辺りに遡ります。現在パソコンやPCと呼ばれているものが、当時はマイコンと呼ばれていました。卓上型のマイコンが初めて出現した頃で、その中でもPC8001は当時としては画期的なものでした。とはいえ、グリーンディスプレィと呼ばれたブラウン管でできたモノクロディスプレィに接続して、80x25個の文字しか表示できません。合わせてプリンターも購入しました。PC8001は当時の値段で、168,000円です。いまのノートパソコンと値段は変わりません。奨学金と親からの援助で購入したのをよく覚えています。新入生の時にちょうど創設された、仙台マイコンクラブプロシージャという大学のサークルに加入して、BASIC、アセンブラ、マシン語などを覚えて、プログラミングの魅力に取りつかれました。80x25個の文字ではなにもできないように思われますが、1文字を構成しているドットを駆使してグラフィックなども表示できました。アスキーという月刊の雑誌に載っていたゲームプログラムを毎月必死にキーボードから入力して、よく遊んでいました。ただし、本体の記憶媒体がRAMという読み書き可能なメモリ32KBのみでしたので、ラジカセのカセットテープにデータを音で記録していました(ぴーひょろろーって感じで)。グリーンディスプレィとプリンターはすでにありませんが、本体はいまでも研究室の私の部屋に飾ってあります(写真)。
いま小学校でもプログラミングが必修になっているようで、私からするとたいへんうらやましいカリキュラムです。プログラミングはロジカルシンキングにうってつけです。全体を見渡してミスなくプログラムを作らないとちゃんと動きません。かと言って、常に正確でなければならないかというとそうでもなく、トライアンドエラー(試行錯誤)でプログラムは作ります。ちゃんと動くまで、何度でも修正しながらプログラムを完成させていきます。たしかにプログラミングには向き不向きの学生がいます。1からちゃんと理解して進むタイプと、何でもおおざっぱなタイプではどちらが向いていると思いますか?私の経験ではどちらでもなく、この二つのタイプを足して2で割ったタイプが向いているようです。そもそも最初から完全なプログラムを作ることは無理ですし、あまり意味がありません。なぜならば、何度でも簡単に修正してプログラムを実行することができるからです。私の研究は、いわゆる数式をスパコンで解くためのプログラミングですが、数式を完全に理解していなくても、プログラムは作れます。プログラミング上達のコツは、まずはとにかくプログラムを動かして、答えなりグラフなりを出力することです。そうすると、ゲームのステージをクリアしたような満足感が得られます。その後、よくわかっていなかった数式をもう少し理解し直してから、また次のステージに挑む。これを繰り返すことで、だれでもプログラミングの魅力にハマっていくはずです。
大学4年生の時に研究室に配属されたのですが、当時プログラミングに関係した研究室は一つだけで、そこの研究室を選んで結局今日まで居座ってしまいました。