クリスマス・大晦日・初詣
今日は、クリスマスイブですね。そして、大晦日になり、また新年が来ます。この時期にふさわしい記事を再録します。2021年5月29日に「八百万の神」で投稿した記事です。
年末、みなさんは3つの宗教を経験しませんか?クリスマス、大晦日、そして初詣。日本人は何でこんなに節操がないのか。なんて思ったりもしませんか?クリスマスはキリスト教、大晦日は仏教、初詣は神道。クリスチャンからすると、背信的と思われるかもしれません。私も特に特定の宗教を信仰していない典型的は日本人ですが、そんな私でも、つい最近まで変だと思っていました。でも、いまは違います。これは理にかなっていると納得しています。なぜか?それは日本の歴史を本当に理解するとそのように思えてきます。日本人のルーツは、約3万年前にあることはご存じでしょうか?最近、DNA分析が進歩して、日本人の遺伝子は約3万年前に確立された固有のものであることが解明されました。Y染色体ハプログループという遺伝子の分類法があります。アフリカから始まった人類は、その後、大陸を移動している間に、いろんなハプログループに分化していきます。日本人のルーツはDタイプの一つで、固有のものであることが最近わかってきました。
日本列島は、約2万年前までオホーツクで陸続きでした。その後、温暖化のため海面が上昇して大陸から分離され、日本人の文化は島国の中で独自に形成されていきます。日本列島は、四季があり、雨も降り、緑も豊かです。1万6千年以上も前に縄文時代が始まっていたことが最近遺跡の発掘などからわかってきました。たとえば三内丸山遺跡が有名ですが、定着した集団生活が始まります。縄文時代は、自然との共存で成り立っていました。また、豊かな縄文文化が育まれていたことも最近わかってきました。歴史の教科書には、縄文時代は竪穴式住居生活で、いわゆる原始人のような生活をしていたくらいしか載っていません。古事記では、神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびこのみこと)こと、神武天皇が初代天皇に即位したのは、皇紀によれば西暦紀元前660年とされており、それ以前は神の世となっていますが、とんでもありませんね。縄文時代は、神武天皇を遡ること1万年以上続いていたわけです。四季で様々に変化する自然と共存するなかで、自然に畏敬の念を覚え、自然のあらゆるものに神が宿る、いわゆる「八百万の神」(やおよろずのかみ)信仰が生まれたと私は理解しました。そのような環境の中で、1万年以上の長い年月をかけて、神道は形作られていったのではないかと思えるようになりました。日本人の遺伝子にもすでに組み込まれているかもしれません。なぜならば、日本人は生まれながらにして、自然と共存することに何ら違和感を感じませんし、草木や物に神が宿るといわれても、自然に受け入れることができると思います。
仏教は、飛鳥時代に中国から伝来したといわれており、平安時代に最澄が比叡山延暦寺で天台宗を開祖した辺りが日本仏教の始まりです。天台宗から始まる日本仏教の教えに、「草木国土悉皆成仏」(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)があることを梅原先生の著書で知りました。もともとは中国から始まった思想のようですが、いまの中国にはなさそうです。これは、人のみならず草木も、みんな成仏できるという教えです。日本には、神と仏が習合した、いわゆる神仏習合思想があります。あらゆるものが仏になれるという信仰と、八百万を神とする信仰。一般的な日本人のほとんどは、年末にクリスマスと大晦日と初詣を経験します。最後は大体はお墓に入ります。これまで、神道と仏教は別ものと思っていた私も、日本ではこれらは同じなのだと最近思えてきました。この辺の話には、梅原猛先生や、田中英道先生の著書が参考になりました。あらゆるものに神が宿り、神になり、また成仏する。