カッとなったら負け処世術について

カッとなったら負け

 上司に怒られた、親に怒られた、友達と口げんかした、出来の悪い部下にキレた、ぶつかってきたおっさんにカッとなった。誰にでも経験あると思います。怒りは普通みんな持っている感情です。笑う、悲しむ、楽しむ、そして怒る。喜怒哀楽といいますね。ただ、不思議に思ってことはありませんか?笑ったり、泣いたり、楽しんだりするのはわかるのですが、なんで怒るという感情があるのでしょう?いまの時代、怒っても得なことはなにもないように思うのですが。怒られた相手は気分が悪くなって逆に怒られそうですし、自分の不甲斐なさに怒ればますます気分がネガティブになりそうです。もともと怒りは身も守るための闘争本能で、敵と戦うときに体を即応させるために不可欠な感情です。すると平時にはいりません。たしかに、高校の部活などで監督が部員に喝を入れるために怒ることはあるかもしれません。でもこの場合も、喝を受ける部員が、監督の愛のムチであることを理解しているのが大前提です。そうでないと、部員は監督の馬鹿やろうと思うでしょう。悪事に憤りを覚えることもあるでしょう。でも、悪事をこらしめることができるわけでもありません。

 ささいなことでも怒ってしまいます。しつけのつもりで、子供をしかっている母親をときどき見ます。これは母親の愛のムチだと思っている子供がいたら、むしろ末恐ろしいですが、そんなことはないでしょう。ついつい子供に怒ってしまい、そのあと自責の念にかられているのではないでしょうか。私も、父親からはよく怒られていましたが、幸い母親から怒られた記憶はあまりありません。父親から怒られた原因のほとんどは兄妹げんかでした。そんな時に仲裁に入るのが母親の役目でした。現代の怒る行為は、相手に怒る以上に、自分のストレスを解消するための手段と化しているかもしれません。子供に怒っているようで、実は自分のストレス解消に子供を利用してしまっている。怒って、子供が泣きだせば、さらに怒ってしまう。今日経験する怒りやイライラは、脳内物質のアンバランスが原因の一つで、さらにそのアンバランスは、腸に住み着いている腸内細菌(腸内フローラ)が深く関係しているようです。これについては改めて紹介します。

 ビジネスの世界で怒るという行為は、結果的に自分が損する結末になるようです。商談で相手を怒らせれば、同然商談は破談になります。ただ、相手が先に間違ったことを言ってきたときは、ついついそれは違いますと反論してしまいそうですね。でも、ハーバード流交渉術では、最悪の対応となっています。この交渉術の基本は、Win-winの関係に基づいており、相手がたとえ間違ったことを言ってきても、いきなり否定するのではなく、まずは相手の意見を聞き、相手の面子を立てた上で、次にこちらの意見を伝えることが大事であるとしています。勘違いしてはいけないのは、相手の意見を鵜呑みにするのではなく、当然こちらの意見も言って、交渉をうまく進めるわけです。相手が仮におっさんでも、友だちでも、子供でも、怒りの感情に任せて相手を打ち負かそうと思う行為は、その時点ですでにこちらの負けを意味しています。怒った段階で感情的になってしまい、理性的な対応はできません。結局のところ、相手にさらに付け込まれてしまいます。私も以前はすぐカッとなってしまう人でしたが、ここで紹介している事柄を知るにつれて、最近はカッとする回数がかなり減りました。仮にカッときても、すぐ火消しできるワザをいろんな本を読んでいるうちに習得しました。