イライラしているおじさんたち人生について

イライラしているおじさんたち

 私は地下鉄で通勤していますが、ある日見た光景に、「えぇ」と思ったことがあります。足早に歩くサラリーマンというよりはおじさんが二人すれ違う際に、フォーム幅が狭かったせいもあるのですが、いきなりお互い肩を思いっきりぶつけ合ってすれ違ったのです。片方のおじさんは思わずよろけてしまいましたが、もう一方のおじさんはなにごともなかったかのように、そのまま足早に、電車に乗り込んでいきました。よろけたおじさんは後ろを振り返って、ぶつかってきたおじさんをにらみつけていました。とても偶然のできことには見えず、わざとお互いぶっかっていたのは確かです。さぞかし、仕事や家庭でストレスが溜まって、ついつい発作的に、ストレスを解消しようと、起こしてしまった行為なのかもしれません。でもこれは一度だけのことではなく、ある日下りエスカレーターで、左側に止まって乗っている一人のおじさんが、少し真ん中気味に立っていたところ、後ろから急ぎ足でエスカレーターの右側を移動していたおじさんが、そのはみ出したおじさんにほとんど体当たりするくらいにぶっかった上に、そのまま通りすぎていきました。ぶつけられたおじさんは、つい大声を出して、「おい、こら待て」と追いかけていました。万一、転げ落ちたりしていたら、一大事です。

 たしかに気持ちはわかります。以前でしたら、私も発作的にそのようにしてしまいそうな時がありました。でも、グッと堪えて、実行するまでには至っていません。このおじさんたちは、ぶっかった後、少しでもストレスが解消したのでしょうか?自分たちがやった行為を、その時一瞬で忘れることはできないと思いますので、当然、多少なりとも後を引いていたことでしょう。いろんな理由で、ついついイライラして、大声で怒鳴ったり、けんかしたり、物に当たってみたり、誰でも経験のあることかと思います。ストレスが溜まって、ついつい、ということはよく聞きますが、ではそのストレスはどこに溜まっているのでしょう?筋肉?なのか、脳?なのか。筋肉のストレスは、マッサージ、シップ、時間が解決してくれます。では脳でしょうか?確かに脳みそのどこかに溜まっているのかもしれませんが、私が得た結論はすでに以前書きました。脳内物質である、アドレナリン、ドーパミン、セロトニン、βーエンドルフィンなどのなせるワザです。

 イライラしている人を見ると、ついついお腹の調子はどうですか?と聞きたくなります。たぶん、便秘か下痢気味な方が多いはずです。脳内物質の前駆体は腸の中で造られます。さらには、腸自体が作るのではなく、腸に住み着いている腸内細菌が造っています。腸内細菌は、人が食べたものにたいへん影響されます。よく言われるように、栄養のバランスがたいへん重要です。特に食物繊維を取るように心がけることが、腸内細菌を活性化させて、結果的に脳内物質の安定供給に繋がるようです。また、糖質の取りすぎも脳内物質のバランスに影響を与えることも書きました。ラーメンやカレー、スイーツやポテトチップ、コーラや炭酸飲料が大好きな人、気をつけましょう。これらは血糖値を急激に上昇させます。上昇したときは、ドーパミンやセロトニンが分泌されて満足感や幸福感がありますが、その後、血糖値はすぐ減少してしまいます。すると、また空腹感に襲われます。そのときにむしろイライラしてしまうことがキレやすい人の原因の一つのようです。疲れたら甘いものがほしくなるのは、脳内物質の分泌に密接に関係しています。ストレス解消にやけ食いをしてしまうのも関係しているようです。

 忙しいおじさんたちは、食生活もたぶん乱れているでしょうね。それは勤務時間や職場環境が影響しているから、やむを得ないかもしれませんが、朝、トーストとコーヒーだけ、昼はそばやうどん、もしくはおにぎり、夜は付き合いで遅くまで飲み会。ごく普通のサラリーマンの生活スタイルなのかもしれませんが、これでは、糖質オンパレード、食物繊維ゼロになりかねません。うつやキレやすい人には、お腹の調子が悪い人が多く食生活を改善してお腹の調子がよくなったら、症状が改善したという研究報告もあります。ついつい仕事に追われて、食生活をないがしろにしてしまいますが、イラっとして発作的に行った行為が一大事をまねく前に、一度自分の食生活を振り返っておいた方が無難かもしれません。