アイデアの見つけ方趣味と勉強

アイデアの見つけ方

 小説をたくさん書いたり、作詞や作曲、発明などをどんどんする人たちを見ていると、羨ましく思いますが、はたしてどうしてそんなにアイデアが湧き出て来るのか、私もぜひとも聞いてみたいです。ノーベル賞の受賞者からも、失敗の経験が新たな発明に繋がっていることをよく聞きます。「失敗は発明の母」とエジソンが言ったとか。エジソンは何千回も失敗を繰り返して、フィラメント電球を発明したといわれています。それはうそ、と書いていた本もありましたが、それはともかくとして、結局、99%の努力かと思ってしまいますが、1%のひらめきが、研究においては99%を占めることもあり得ると私は思っています。要するに、研究はアイデアがすべて、ということになりますが。これらの偉人に比べれば、私のアイデアなど取るに足りないレベルですが、私の経験から、そのきっかけを参考までにお話しします。私も些細なアイデアはそれなりにありますが、これぞというアイデアは結構意外なところで得ています。

 まず、最初のものは、まだ大学院生のときに、未知の数式を理解するためいろいろいじくり回していたら、少し変な形の数式が導き出されました。結局、この数式を英語ジャーナルに発表して、私がこれまで発表した論文の中では被引用件数が最も多い研究成果になっています。まったく、予期せぬ出来事でした。次は、約15年くらい前のことですが、たまたま他分野の先生と通勤が同じバスになり、車内で雑談していたところ、その先生の分野ではここが足りないという話になり、その足りない部分が私の研究分野に関連していましたので、それでは少しやってみるかと思い、研究を始めました。でも、その先生の研究分野自体は、海の物とも山の物ともわからない状況でした。現在私の主要な研究テーマの一つになっています。ただの雑談で聞き流していたら、たぶんいまは研究していないように思います。私の場合、アイデアは他の研究者や企業の技術者と話をしているときにひらめく場合が多いです。

 共通する趣味を持った人たちのコミュニティに参加すると、いろいろアイデアが得られるかもしれませんが、この場合のアイデアはたぶん他者がすでに実践していることですので、自分のオリジナルにはなりません。新しいアイデアは、むしろ違う趣味の人と話をしているときにひらめくかもしれません。研究や仕事の場合も、ひとりでいろいろ考えるより、他者と会話しているときに得られかもしれませんし、自分とは異なる分野の研究や仕事をしている人との会話の方が、さらに得られやすいかもしれません。これは会話だけでなく、書物などを読む場合も同様です。自分の好きな本や同分野の論文ばかりでなく、他のジャンルの本や情報に触れることにより、新たなアイデアが生まれるかもしれません。初めは海の物とも山の物ともわからない方が、一旦アイデアがひらめけば、それによる収穫もより大きいものになるはずです。