俯瞰力について健康について処世術について日本人再考食を俯瞰

食を俯瞰

 私が小学生だった頃、給食では、コッペパン、ジャムもしくはマーガリン、おかず1品、そして、「脱脂粉乳」の牛乳?というのがほぼ毎日で、アルミの器に注がれていました。そんな中でも、たまに出てくる、揚げパンや、ソフトメン(うどんの麺だけで、それにじゃじゃ麺のような味噌ダレをかけるもの)が楽しみでした。脱脂粉乳は今から思えば、牛乳ではありません。味がない色だけ辛うじて白い飲み物でした。でも、それが普通だと思って飲んでいました。日本人の主食は米です。いまは給食でもごはんが普通に出てきているようですが、当時はごはんが出てきた記憶はありません。いま出せるのならば、当時だって出せたはずです。それは敗戦した日本が、GHQの政策により、アメリカから小麦や乳製品をなかば強制的に輸入されられて、学校の給食に小麦食を普及させて、バターやチーズなどの高級品用に脂肪分が搾り取られた残りの汁を飲まされていたということでしょう。ちなみにソフトメンも小麦から作られます。

 学校でパンを食べさせられて慣れてしまった子供たちが大人になったら、だんだんごはんよりもパン食を好むようになるのは当然です。そうすると、お米の消費量が減っていき、お米が余ってきたので、次に始まったのが減反政策です。減反すれば補助金がもらえますから、わざわざ儲からないお米を作るよりも、むしろ楽でしょう。結果的に米農家が減少して、小麦などの食料品の輸入量が増加して、日本の食料自給率がどんどん下がってきました。パンだけではありません。西洋文化は大航海時代から日本にも伝来されてきましたが、特に幕末ペリーが来航して日本に開国を迫り、不平等な通称条約を締結されてから、西洋文化は日本にどんどん入って来ました。その後の明治時代には肉食も普及し、それまで食べる習慣がなかった牛や豚など哺乳類の肉も食べるようになりました。いまでは、ステーキやトンカツは普通に日本でも食べられます。肉食が普及するにつれて、それまで日本人の主食だった魚の消費量は減ってきました。現在、みなさんの食卓で、魚を食べる機会も減ってきていると思います。

 もともと、日本は海で囲まれた島国であることから、日本人は縄文時代から、魚、貝や海藻などの海産物が主食で、江戸時代までの食卓では、ご飯、味噌汁、魚、漬物といったいわば質素な食事が中心でした。一方、今の食卓には、スーパーで気軽に入手できる様々な食料品が並びます。当然、高カロリーや塩分過多にもなりかねません。最近、切れたりうつになったりする人が増えていますが、食生活が深く関わっていることがわかってきました。人間は脳に支配されています。脳内物質のドーパミン、セロトニン、βーエンドルフィンなどのバランスが崩れてくると、精神疾患に陥りやすいことが知られています。でも、実は脳は腸に支配されていることはあまり意識することはありません。脳内物質は腸でその前駆体が造られる。正確に言えば、腸内に住み着いている腸内細菌がその前駆体を生成します。そのエサが食物繊維です。食物繊維は穀物、野菜、キノコ、海藻などに含まれます。また漬物などの発酵食品には腸内で活躍する善玉菌がたくさん含まれています。洋食は肉が中心ですので、ついつい食物繊維が不足します。質素な日本食ですが、実は腸内細菌にとっては最適な選択であったことが改めてわかります。

 いま、食糧危機に備えて、コオロギなどの昆虫食を食べるよう政府が先導しています。コオロギ飼育に補助金が出ます。ウクライナ戦争の影響で小麦流通量が不足しています。それなのに、減反政策は続いています。さらには牛乳が余っているといって大量に捨てています。乳牛も殺処分すると補助金がもらえます。鳥インフルエンザが発生した鶏農家は全羽殺処分が義務づけられます。体温が42度の鶏がインフルエンザにかかります。本当でしょうか?なぜか、養豚農家で火災が立て続けに発生しています。どうでしょうか?私はすでに気がついていますが、これらのことを俯瞰して、何か変だと思いませんか?意図的に何かが行われてきたとついつい思ったりしませんか?このように食についても、時系列的に起きてきたことを俯瞰してみると、この先、何が起きるのかが薄々わかります。その上で、それに従っていると、「知らぬと仏に」なってしまいますので、やはり備えあれば憂いなしかと思います。その解の一つは意外とすぐ見つけられます。日本人は江戸時代の食生活に戻るべきであると私は思います。