トラベル日記

棟方志功とピカソ

 北東北の2泊3日の旅行では、1日目に三内丸山遺跡を見学した後に、すぐ近くにある青森県立美術館で、生誕120年棟方志功展と、2日目に本元の棟方志功記念館を訪れました。棟方志功は以前から好きな画家の1人でしたが、棟方志功記念館が今年度いっぱいで閉館されて、作品は青森県立美術館に集約されるという情報をこの旅行の準備段階で知りましたので、これを機に、作品を見てきました。以前にも、どこだか忘れましたが美術館で棟方志功展を見たことがあり、それ以来のファンです。たぶん、棟方志功の木版画や油絵が好きな人は、描かれている観音様や風土史などの内容で好きになっている人が多いように思います。ただ、私の場合は、どちらかというと、シュール画(シュールリアリズム)として、絵の持つイメージで見てしまいます。青森県立美術館には各地にある棟方志功の作品が集められていましたが、あまりに膨大な量で、一つ一つをゆっくり見ている時間はありませんでした。それゆえ、ちょっとお高かったですが、作品集を買って、家でゆっくり見ることにしました。2日目に、棟方志功記念館に行って、まず棟方志功の生涯を解説した30分くらいのビデオを見ました。版画版に顔がくっ付くくらいの距離で版を掘っているのが不思議に思っていたのですが、実は、左目が失明して右目も極度の近眼、であるためだと知りました。

 もう一つ驚いたのは、版画だけでなく、墨絵や油絵も描いているのですが、その描く速さが尋常ではないことです。これは実際に描いているところのビデオを見ないと伝わりませんが、たぶん書く前から作品は頭の中ですでに出来上がっており、それを必死に書き写しているのではないかと想像しました。著作権の関係で作品の写真をアップするのはやめますが、いくつかの作品はあきらかにシュール画の様相を呈しています。シュール画が好きで、これまでにも美術館で開催された特別展などをたくさん見てきました。好きな画家は、みなさんお馴染みの、シャガール、ピカソ、ダリ、ミロなどです。ピカソとミロの美術館はバルセロナにあり、海外出張で行った際に、ついで?に両方とも見たことがあります。特に、ピカソ美術館では、有名な大作だけでなく、日頃から描いている作品がたくさん展示されていました。棟方志功との共通点は、ほぼ同じ絵を飽きずに何十枚も描いているところです。ピカソは同じ構図の自画像を様々な色で描いていました。凡人は2枚も同じ絵を描けば飽きてしまいます。好きでなければ到底できないことであり、天才といわれる由縁かと。棟方志功の作品は海外で高く評価されて、たくさんの賞を受賞し、文化勲章も授与されています。外国人が仏教画を理解できるとも思えませんので、たぶん私と同じく、棟方志功の作品にピカソとの共通点を見い出したのではないでしょうか。

 棟方志功は、「自分はゴッポになる」と画家を目指していたと知りましたが、世界の棟方志功になりました。ピカソに並ぶシュール画家だと私は思っています。

青森県立美術館入口
棟方志功記念館