朝日と腸内細菌
夜よく眠れない。いつも何かだるい。やる気がしない。体調が悪い。これらのうち、一つはみなさん日頃感じているかもしれません。私も、やる気がしないことは時々あります。でも、夜はすぐ寝れますし、だるくなることも風邪を引いたとき以外はないですし、幸い、体調も良好です。心配ごとがあると、夜中の2時頃に突然目が覚めたりします。私も以前そのようなときがありました。よく眠れない、気分がうつ、などになると辛くなるのは当然です。カウンセリングなどの相談を受けて、場合によっては医師の診察を勧められることもあります。するとだいたい、薬が処方されます。ただ、私は安易に薬には走らない方がいいと思っています。なお、私は医者ではありませんので、ここでの話はあくまで活字から得た知識や自分の体験に基づいてのことですので、念のため前置きしておきます。
現在、一般に受けることができる医療は、西洋医学に基づいており、いわゆる体の個々の部位に焦点を当てた治療が施されます。たとえば、精神科や心療内科ならば、脳に焦点を当てて、脳内ホルモンバランスを改善する薬などが処方されます。患者はわらをも掴む思いで受診しますから、処方された薬がよく効けば、受診してよかったと思います。でも、もし実は原因が他のところにあった病気?に対して、処方された薬が一見よく効くとなった場合はどうでしょう?根本的な原因は取り除かれていませんから、症状は続き、薬を飲めば和らぐことを繰り返します。怖いのは、薬への依存度がますます高くなってしまうことです。最近は、風邪薬でも良く効く薬が市販されています。良く効くだけに止められなくなる恐れがあります。
人間の体内時計は25時間です。脳を持つ動物には松果体と呼ばれる器官があり、ここには光の受容体があります。鳥や魚はいまでも光を感じる第三の目ですが、人間はあいにく大脳が発達して松果体を覆い隠してしまったために、直接光を受けることができなくなりました。二つの目がその機能を間接的に果たしています。松果体は、メラトニンを分泌します。睡眠を導くホルモンです。光を浴びることで松果体がリセットされ、体中にセロトニンが分泌されてきます。メラトニンはセロトニンから生成され、セロトニンは夜になるにつれて、メラトニンに置き換わっていきます。その周期的な体内メカニズムにより1日24時間で生活することができます。逆に言えば、光を浴びないと1日25時間生活になってしまいます。セロトニンは生命活動に不可欠な体内物質です。
夜更かしたり、寝不足になったりするのと、早起きするのとは相反関係にあります。たぶん朝日を浴びないことで、体内リズムが25時間になってしまい、だんだん夜更かしになるのでしょう。セロトニンの90%は腸内で合成されます。その合成に腸内細菌が深くかかわっています。興奮、怒り、不安、ストレスなどを誘引する体内物質であるアドレナリンが分泌されると、それを抑えるためにセロトニンが体内に分泌されます。いわゆる鎮静効果のある物質です。ただし過度に分泌されると、過敏性腸症候群、いわゆる下痢になったりします。一方、セロトニンが不足すると、うつになったり、切れやすくなったり、便秘になったりします。腸内細菌は、セロトニンを構成する物質だけでなく、ビタミンB群、短鎖脂肪酸など、体に大切な物質をたくさん合成しています。食物繊維はそれらの原料です。また、太陽光を浴びることにより、ビタミンDが皮膚で合成されます。ビタミンDは腸内細菌を活性化します。
どうでしょうか?薬に頼るまでに至る前に、いま一度、自分の生活スタイルを顧みて、本当に本来の体内メカニズムにあった生活ができているかを、再認識するのが先決ではないかと、私は思います。