人生について価値観について俯瞰力について夢の国は何処へ日本人再考

夢の国はいずこへ

 有人ロケットで月まで行った国、スペースシャトルを打ち上げた国、宇宙ステーションを造った国、ノーベル賞受賞者をたくさん輩出した国。夢が実現する国。自由民主主義の国。まさに日本人憧れの国です。私もその一人です。今でもそうです。どこの国かはすぐわかるでしょう。アメリカです。ただし、以下の話はあくまで一般論です。特定の国を指しているわけではありませんので、念のため。日本は縄文時代から続く世界に類の見ない国です。国を支配する人たちが変わったことは何度もあります。でも文化、信仰、思想、習慣は、戦後まではほとんど変わっていませんでした。一方、他ではどうでしょう?歴史的に見て長く続いた国はどこでしょう?世界の歴史年表を見ればすぐわかります。ギリシャ、エジプト、ローマ、オスマン、と何百年、何千年続いた国もいくつかあります。でも、1万年以上続いた国はありません。

 国が長く続くためには何が必要でしょう? それは、長く続いている国を見ればわかります。やはり、民族や信仰を同じくしている国がより長く続いています。逆に言えば、それが続かなくなったときに国は滅びます。よりわかりやすく言えば、他民族からの侵略で国は滅びます。ヨーロッパでは長年、民族間、宗教間の対立が続いています。いまでもそうです。中国は他民族の侵略で何度も体制が変わっています。そして、文化の破壊も起きました。アジアは西洋列国から侵略されて植民地になりました。民族が変われば、文化や思想も変わります。支配された民族の文化・思想は破壊されて徐々に失われていくのは必然です。でも最近は、宗教や民族以上にお金や軍事力が台頭しています。イギリスそしてアメリカはもともと宗教対立に端を発して誕生した国です。カトリックに迫害されたプロテスタントやピューリタンが移住しました。最初は宗教・民族で繋がっていました。

 でもいまどうでしょう?移民が増えるにつれて、民族、文化、信仰が多様化しました。そして新たに資本主義が生まれました。ある意味では、民族、宗教の垣根を越えたグローバルな思想であり、人類共通の価値になり得るものです。お金が手に入れば、みんな豊かな生活ができるようになり、みんな幸せに暮らすことができます。でも、資本主義が行きすぎて、いま富の独占が起きています。私利私欲はほどほどにして、一部を社会へ再配分すれば、みんな幸せな世界になるのですが、どうも人間の本能である支配欲が働いてしまいます。自分が稼いだお金を、喜んで他人にあげるなどとは誰も思いません。事業に成功してお金を儲けた人は、自分の努力が叶ったわけですから、それでいいと私も思います。でも、お金を持った人は、さらに支配欲が増幅します。

 お金と軍事力が結びついた結果、至るところで紛争が起きています。武器が売れればお金が儲かる人たちがいる限り、この現状は変わらないでしょう。お金と力(による脅し)で自国そして他国の政治家に言うことを聞かせて、変な政策を押し付けることも可能です。実際にそれが現実にたくさん見受けられます。でも、いま何が起きているのか、ご存じでしょうか?お金と力に頼りすぎた結果、民衆の心がどんどん離れています。世界を支配していたはずの国々が、いま民衆から嫌われています。多様性という名の元でおかしな政策を続けた結果、いま先進国が移民で溢れかえっています。日本も最近、政府がいろいろおかしな政策を進めています。お金と力で支配しようとするのは、それが維持できているうちはいいですが、歪んだ政策はいずれ支持を失うでしょう。文化や思想を破壊するのが目的であるとすれば、その国はいずれ滅びます。その中に日本は入っていないと、楽観視できるような時代ではもはやありません。